タキシードを着用する場合のマナーとは?
タキシードといえば、結婚式で新郎や新郎新婦の父親が着用するイメージがあります。凛々しくきちんとした印象を与えるため、フォーマルなシーンで活躍するアイテムです。しかし、普段なかなか着ることのない衣装でもあり、どのようなマナーがあるか知らない方も多いでしょう。大切な結婚式で、恥をかかないためにも、事前にマナーを押さえておくことが大切です。今回は、タキシードにフォーカスをあて着用時のマナーを解説します。
目次
1.タキシードとは
タキシードは、男性が着用する礼服のひとつです。もともとは、イギリスやフランスにおいて燕尾服を着用した際に、喫煙タイムになるとスモーキングジャケットに着替えたことがきっかけです。燕尾服の尻尾の部分をカットして、ショールカラーになったのがタキシードです。
タキシードは、モーニングや燕尾服の次に格式が高い準礼服とされ、基本的には夜間に着用します。しかし、近年はタキシードに関する決まりが緩和される傾向にあり、日中に着用することも可能です。
結婚式では、新郎や新郎新婦の父親の他、主賓として出席するゲストが着用しますが、マナーを守れば一般のゲストが着ても問題ありません。基本的には、白と黒のモノトーンでまとめるのが定番スタイルで「ブラックタイ」と表現されたり、アメリカでは「タキシード」、イギリスでは「ディナージャケット」とも呼ばれています。ドレスコードで「ブラックタイ」と指定される場合、タキシードのことを意味しています。
2.タキシードの基本的なルール
タキシードには、ジャケットやシャツ、パンツ、小物に至るまで様々なルールがあります。細かいようですが、ルールを守ることでTPOに合わせたスマートな着こなしができるため、事前に把握しておくことをおすすめします。特に、結婚式のような正式なシーンでは、ルールを守って着用しなければなりません。続いては、タキシードの基本的なルールをパーツごとに紹介します。主なパーツは以下の通りです。
- ジャケット
- シャツ
- ネクタイ
- カマーバンド
- パンツ
- 靴
ジャケット
ジャケットでタキシードをイメージづけるのが、襟元です。襟元にはシングルのショールカラーもしくは尖ったピクドラペルがあしらわれています。また、ジャケットの襟には光沢のある素材が施されており、カバーバンドやベストも同様の素材が使われるのが特徴です。ボタンはワンボタンで、ジャケットと同じ生地を使用したくるみボタンがついています。丈の長さにもルールがあり、フォーマルなシーンでは、お尻が隠れる程度の着丈が適切でしょう。
シャツ
ジャケットの内側には、白のブロード生地を使ったシャツを着用します。タキシードを着用するシーンにふさわしいのが、襟の先が鳥の羽のように少しだけ折り返された仕様のウィングカラーです。ウィングカラーには、胸元にプリーツが入ったタイプがあり、よりドレッシーな雰囲気を演出したい場合に向いています。新婦の衣装とのバランスを考えて、シンプルなタイプのウィングカラーを着用しても問題ありません。また、シャツの袖はダブルカフスが基本スタイルです。
ネクタイ
タキシードの正式な着こなしには、蝶ネクタイが必須です。素材はシルクサテンが好ましく、黒い色のものを選びましょう。また、胸ポケットには白いチーフを挿すのもポイントです。二次会やカジュアルなパーティーなどでは、色のあるチーフを利用して遊び心を演出するケースもあります。シーンに合わせて、ふさわしい小物を用意するのが大切です。
カマーバンド
タキシードといえば、カマーバンドも重要な要素です。カマーバンドとは、正装時に着用するウエストコートを簡略化したもので、ブラックタイ、カフスと並び、タキシードの基本的なルールとして挙げられます。カマーバンドを着用することで、ウエストラインが上がりすっきりとした印象を与えられるでしょう。カマーバンドの色は、蝶ネクタイと合わせる必要があります。「ブラックタイ」というドレスコードがあった場合、カマーバンドを着用していなければ正式なスタイルとはいえません。
パンツ
タキシードで着用するパンツは、裾がシングルで後ろ半分が斜めになっているモーニングカットタイプです。サイドに1本のラインが入っているのが特徴で、ベルトループはありません。そのため、サスペンダーを使用してウエストの位置をキープします。パンツの裏側にはサスペンダーボタンがついているため、ボタン留めのサスペンダーを使ってもスマートに着こなせるでしょう。
靴
全身をまとめる上で、大変重要な役割を担うのが靴です。タキシードでは、エナメルシューズもしくはオペラパンプスを履くのが正式です。エナメルシューズはタキシード同様夜間に履くための靴ですが、近年は日中でもエナメルシューズを選ぶケースも増えています。また、結婚式に参加する立場によっても選ぶ靴が変わるため注意しましょう。新郎は主役であるため、エナメル素材のオペラパンプスがベストです。参列する側であれば、ストレートチップシューズでも問題ありません。
3.タキシードとスーツの違い
タキシードを選ぶ際に、スーツとの違いが分からなくて困ったというケースも少なくありません。タキシードとスーツは似ているため、違いを押さえておかなければ、マナー違反になってしまう場合があります。続いては、タキシードとスーツの違いを、それぞれの特徴に注目して解説します。
タキシードの特徴
一目で分かるタキシードの特徴として挙げられるのは、光沢のある生地が使われている点です。全体はタキシードクロスと呼ばれる滑らかな黒い生地ですが、ジャケットの襟元やカマーバンドにはシルク素材を取り入れています。
また、以下のように襟の形が2種類ある点もタキシードの特徴です。
- 外側が丸く通称「ヘチマ襟」と呼ばれるショールカラー
- 尖ったタイプのピークトラペル
タキシードのパンツは、側面に「側章(そくしょう)」と呼ばれるブレードが施されており、日本では1本のラインが正式です。
その他、スーツとの大きな違いとして、ベンツ(切り込み)がない点が挙げられます。もともとベンツは、馬に乗る際や剣を抜き差しするために施された仕様です。タキシードはフォーマルなシーンで着用する衣装であり、馬に乗ったり闘ったりする必要がないため、ベンツがありません。
スーツの特徴
スーツは、正礼服であるモーニングコートを短くしたものです。フォーマルな礼服をカジュアルにするために作られているため、インフォーマルなシーンで着用します。近年は、ブラックスーツであれば礼装の略式として捉えられ、フォーマルなシーンでの着用も認められていますが、しっかりとマナーを守らなければ失礼にあたる可能性もあるため注意が必要です。
ホテル椿山荘東京ではフォーマル、カジュアルなど多彩な結婚式に対応しております。タキシードを着用したウエディングを希望される方は、ぜひホテル椿山荘東京へご相談ください。
4.タキシードが使われるシーン
一般的に、タキシードが使われるシーンとして挙げられるのが結婚式です。特に新婦のドレスに合わせて、新郎がタキシードを選ぶことが多いでしょう。タキシードよりも格の高いモーニングを着ることもありますが、華やかな演出を希望する場合はタキシードが向いています。反対に新郎がブラックスーツを着ると、格式を下げてしまうため要注意です。結婚式の参列者はブラックスーツを着るケースがほとんどですが、主賓として招かれた場合やスピーチを頼まれている場合は、タキシードを着用することもあります。
結婚式よりもカジュアルなスタイルで開かれる二次会では、新郎もジャケットとパンツスタイルを選ぶケースがあるでしょう。しかし、結婚式と同じく、ある程度フォーマルな印象を崩さないために、多くの新郎がタキシードを着用しています。結婚式と差をつけるために、小物を工夫するのもおすすめです。
その他、夜に開かれるかしこまったパーティーでも、タキシードが活躍するでしょう。特に「ブラックタイ」のドレスコードが設けられている場合は、タキシードを着こなす必要があります。
5.結婚式のタキシード
日本において、最もタキシードが着用されるシーといえば結婚式です。しかし、これから結婚式を迎えられる新郎にとっては、どのようなタキシードを着たら良いか迷ってしまうものです。また、参列する立場としてタキシードを着る場合もあり、参列経験が少ないとマナー違反にならないか心配になることもあるでしょう。続いては、結婚式におけるタキシードで新郎とゲストのそれぞれの着こなしについて詳しく解説します。
新郎が着るタキシード
結婚式は、神父や参列者の前で永遠の愛を誓う儀式です。そのため新郎が着用する衣装も、フォーマルな場面に見合った正礼装のタキシードがふさわしいでしょう。定番である黒いタキシードは、格式高い会場やクラシカルな雰囲気にも適応します。
新郎が衣装を選ぶ際にポイントとなるのが、新婦の衣装とのバランスです。新婦のドレスと格式に差が生まれてしまうとバランスが悪くなり、あまり良い印象を与えません。新婦のドレスがクラシカルなタイプであれば、新郎も王道といえるフォーマルなタキシードを着こなすことが大切です。一方、カジュアルなドレスを着用している場合は、タキシードにも少し遊び心を入れると良いでしょう。
また、日中のウエディングでは、モーニングコートを選ぶケースもあります。モーニングコートとは、昼間に着用する衣装の中で最も格式の高い正礼装です。古来イギリスから着用されてきた歴史のある衣装で、洗練されたスタイリッシュな印象を与えます。参列者に対するおもてなしの心を伝える衣装としても向いています。
ゲストが着るタキシード
結婚式では主役である新郎が正礼装を着用し、ゲストは新郎よりも格式の高い衣装を着用することはできません。そのため、準礼装もしくは略礼装が一般的でしょう。ちなみにタキシードも準礼服にあたり、結婚式で「ブラックタイ」というドレスコードが設けられた場合は「タキシードを着用してください」という意味があります。また、主賓として招かれた際やスピーチを任された際にもタキシードがおすすめです。基本的に黒と白でまとめるのがマナーですが、日中の結婚式でカジュアルな雰囲気の中、一般のゲストとして参列するのであれば、ポケットチーフに色を添えたりシャツにアクセントを持たせたりアレンジをしても良いでしょう。また、ドレスコードがなければ、グレーやダークブルーなどのタキシードでも問題ありません。
6.タキシードを着用する時間
タキシードはもともと夜に着るための衣装ですが、近年は着用シーンが広がり昼に着ても問題ないとされています。ただし、着用する時間帯によってマナーが異なるため、事前に押さえておくことが大切です。続いては、昼間と夜間に分けてそれぞれのタキシードの着用マナーについて詳しく解説します。
昼間のタキシード
本来タキシードは準礼装であり、17〜18時以降を目安に着るのがマナーとされていました。日中の正礼装はモーニングコートであり、結婚式でもきちんとマナーを守りたい新郎が選ぶ傾向にあります。しかし、近年はこうしたタキシードに関するルールが緩和されており、日中の結婚式でもタキシードを着用するケースが増えてきました。
タキシードに似た服装としてブラックスーツがありますが、略礼装としてゲストが着用するシーンが多いです。タキシードとは異なり時間帯の縛りがないため、無難に着こなせる衣装ともいえます。ただし、海外ではビジネススーツと捉えられるため注意が必要です。また、新郎が着用するのであれば、ブラックスーツよりもタキシードのほうがよりフォーマルな場面にふさわしいとされています。
夜間のタキシード
タキシードはイギリスでは「ディナージャケット」とも呼ばれ、夜間に着用するフォーマルな衣装です。夏場は18時以降、冬場は17時以降に着用するのがマナーで、厳密には日中の結婚式では着用しません。そのため、夜間に開かれる結婚式やパーティーであれば、マナー違反を気にせずタキシードを着こなせます。夜間の正礼装としては燕尾服もありますが、日本の結婚式ではあまり着用されることがないため、タキシードを選ぶことが無難です。
結婚式は、一生の思い出に残る大切なイベントです。希望通りの結婚式を開くためには、式場選びも重要なポイントとなります。ホテル椿山荘東京では、タキシードが似合うフォーマルな結婚式やカジュアルなタイプの式など、様々なロケーションをご提案しています。ぜひ一度ご相談ください。