結納セットとは?事前に用意するものや目録・受書の書き方
結納の意味や結納品についてご紹介いたします。
結納とは、「結び、納めるもの」。つまり、結ばれる家と家とがお祝いの品を交換することを意味します。
語源には、2つの説があり、中国から伝わった協力関係を示す言葉「結いもの(ゆいもの)」という説と、「言い納れ(いいいれ=婚姻の申し込み)」が「結い納れ→結納」となったという説です。
婚約を正式なものにするための儀式ですので、いろいろな決まりごとがあり、複雑です。今回は結納の内容や用意するもの、関東と関西の違いを説明した上で、結納金の相場や服装の注意点もお伝えします。
目次
結納セットとは?
結納の際に結納品や小物を一つずつ揃えるのは、かなり手間がかかります。そんな時に便利な結納セットに関して説明します。
◇結納セットとは
結納セットは、結納の際に使う結納品や小物をまとめたもので、ブライダルサロンや専門店、結納プランのあるホテルや旅館などでも取り扱いがあります。
専門のスタッフが揃えたものなら安心して使えますし、結婚式までのあわただしい期間に気にかけることが減るので、とても助かるでしょう。
◇結納をおこなう際のポイント
結納をおこなう際には、事前に以下のポイントを押さえておくとスムーズに進めることができます。
・日程・場所を両家で話し合う
・用意する結納品の相談をする
・様式(結納金・服装等)の相談をする
結婚準備の中で、結納をおこなうかどうか、迷っているカップルも多いと思います。しかし、以下のような声が聞かれるのも事実です。
「結婚前のけじめとして、やはりやっておけば良かった……」
「結納をおこなうことで結婚式に対する両家のスタンスや関わり方などがよくわかったので、やって良かった」
結納は、両家がともにおこなう最初の儀式です。今後良好な関係を築くために、難しいことと考えず、ふたりが両家の架け橋になるくらいの気持ちで進めてみてはいかがでしょうか?
きちんとした場を設けることで、お互いのご家族も安心されるはずです。
結納で用意するもの
結納で用意するものをご紹介します。
◇結納品
関東では9品目を揃えるのが正式ですが、7品目・5品目などの略式セットもあります。地域によって、品目や飾り方に違いがありますので、注意してください。
◇受書
結納を受けた証の受領書のようなものです。結納品を受ける側が用意します。
◇家族書
家族を紹介する書類です。一般的に、戸籍が同じ家族、家族の配偶者を記載します。
◇親族書
親族紹介の書類です。本人からみた三親等、別所帯を持っている兄弟を記載します。
関東と関西の結納品の違い
結納品は、以下のように関東式と関西式でかなり違いがあります。
・関東 結納を交わす→新郎新婦がお互いに結納品を納める
・関西 結納を納める→新郎が新婦に結納品を納める
それぞれの結納品に関して説明します。
◇関東式9品目
関東では、以下の9品目の結納品を並べて一つの白木台に飾ります。
1. 熨斗(のし)あわびの肉を干して長くのばしたもの。長寿の象徴です。
2.目録(もくろく)結納品の品名や数を記したものです。
3.金包(きんぽう)結納金が包んであります。
4.勝男節(かつおぶし)男性のたくましさを象徴し、酒肴や災害への備えの意味も持ちます。
5.寿留女(するめ)お祝い事に用いる酒肴です。保存食として災害への備えの意味もあります。
6.子生婦(こんぶ)昆布には子宝に恵まれるという意味があり、「よろこぶ」にもつながります。
7.友白髪(ともしらが)白い麻糸で、ともに白髪になるまで仲睦まじく添いとげる意味を持ちます。
8.末広(すえひろ)純白の扇子は、純真無垢と末広がりの繁栄を願います。
9.家内喜多留(やなぎだる)祝い酒のことで、現在では実物ではなく現金を包みますが、実際に酒樽を贈る地方もあるようです。
◇関西式7品目
関西式では、一品ずつそれぞれの白木台に飾ります。高砂、結美和、目録は品目数に入れず、豪華な水引を使った立体的な飾り方が特徴です。
1.松魚料=勝男節(まつうおりょう)関東の勝男節と同じ意味ですが、かつお節ではなく金子包み(=肴料)です。昔は実際に魚を贈っていました。
2.柳樽料(やなぎだるりょう)関東の家内喜多留(やなぎだる)と同じ意味ですが、酒樽ではなく金子包みです。
3.小袖料(こそでりょう)=金包 結納金を包みます。京都では帯地料、神戸では宝金となります。
4.寿恵広=末広 (すえひろ)純白の扇子で、純真無垢と末広がりの繁栄を願う意味を持ちます。亀の水引飾りが特徴です。
5.高砂(たかさご)老翁と老婆の人形は、年老いるまで仲睦まじくという意味を持ちます。
6.熨斗(のし)あわびの肉を干して長くのばしたもので、長寿の象徴です。
7.子生婦(こんぶ)昆布は子宝に恵まれるという意味で、「よろこぶ」にもつながります。
8.結美和(ゆびわ)婚約指輪です。
9.寿留女(するめ)お祝い事に用いる酒肴で、保存食として不時の備えの意味も持ちます。
10.目録(もくろく)結納品の品名や数を記したものです。
結納金(金包)の金額
結納金の金額の相場が気になる方は多いようです。どのような考え方が結納にふさわしいのか解説します。
◇御帯料(おんおびりょう)
男性から女性へ贈る結納金は、かつて結婚式の衣装として帯などの現物を贈ったことに由来し「御帯料」と呼ばれます。
これは、嫁入りの支度金、酌み交わす酒肴代、女性を育ててくださった両親へのお礼、嫁の労働力の代価として贈られたものです。
男性の月収の2~3倍といわれていますが、50万円・100万円といったきりのいい金額にすることも多いようです。また、昨今では、結納金の代わりに婚約記念品(指輪が多い)を交換するカップルも増えています。
◇御袴料(おんはかまりょう)
女性から男性へ贈る結納金、いわゆる「結納返し」です。
地域によっても異なりますが、関東では「半返し」、関西や名古屋では「1割返し」といわれています。
御帯料同様、現金か記念品(腕時計や仕立て券付服地など)、またはその両方で返すケースも多いようです。現金と記念品の両方を贈る場合は、その総額が結納金の額になるようにすると良いでしょう。
結納の時の服装
結納では、正礼装が基本ですが、現在主流の略式結納では、準礼装や略礼装も多くなっています。また、両家と媒酌人の了解のもと、平服でおこなうケースも増えているようです。
結納の服装で一番大切なことは、出席者の服装の「格」、どの程度フォーマルにするのか揃えることです。本人たちだけでなく、出席者全員が対象ですので、注意してください。
◇男性側の服装
正式結納であれば、ふさわしいのはフォーマルの「正礼装」で、五つ紋付羽織・袴が基本です。
略式結納の場合、ふさわしいのはセミフォーマル「準礼装」となり、ダークスーツで問題ありません。ワイシャツは白、ネクタイはフォーマル用の白やシルバーで、靴は紐つきで黒、靴下はスーツの色に合わせた無地のものにします。和室の場合は靴を脱ぐので、新しい靴下がおすすめです。
◇女性側の服装
正式結納の場合は振袖です。略式結納ならワンピースやスーツなどで出席します。おめでたい席なので黒は避け、華やかでドレッシーなタイプを選びましょう。
和装なら訪問着を着ますが、未婚女性の正礼装である振袖でもかまわないといわれています。略式結納で振袖を着る場合、他の出席者と差が出ないよう、事前にお相手側に伝えておきましょう。アクセサリーは真珠など上品で落ち着いたデザインを選び、香水は控えめにします。
◇出席者の服装
本人よりも派手で目立つ服装はしないように配慮しましょう。正式結納の場合、男性は五つ紋付羽織・袴、女性は黒留袖が五つ紋の色留袖です。
略式結納の場合、男性陣はダークスーツ、女性陣は黒以外のスーツ・ワンピース、和装なら訪問着・付け下げ・色無地になります。
結納における目録・受書の書き方
結納品にある「目録」、また、受け取った証である受書の書き方を解説します。
◇目録の書き方
目録は、お相手に贈る品物内容を箇条書きにしたもので、納品書の役割を果たします。
目録は、毛筆で記入するのが基本です。最初に「目録」と書き、「一、子生婦 壱台」と明細を縦書きで続け、最後に「右之通り幾久しく敷目出度く御受納ください 以上」と結び、日付・贈り主・贈り先を書きます。
関東式では、目録を含めて9品記載するのが一般的で、結納金は「御地料」と書く場合もあるようです。関西式の場合、目録以外の9品または7品を記載し、結納金は「小袖料」と書く地域もあります。
関東の「勝男節」は関西では「松魚料」、同じく関東の「家内喜多留」は「柳樽料」となり、同じ結納品でも地域によって品名が違う場合がありますので、注意してください。
毛筆書きに自信がない場合、結納品の販売店に代筆をお願いできるケースもあります。専門家に任せたほうが安心でしょう。
◇受書の書き方
受書は、結納品を受け取る側が用意するものですが、事前に受け取る内容がわからない場合など、贈る側が用意するケースもあります。取りかわさない地方もあり、事前に両家で確認しておいたほうが良いでしょう。
目録と同じように、毛筆・縦書きで記入します。表に「受書」と書き、中面に「一、子生婦 壱台」と品名を縦書きで書きます。最後に「右之通り幾久しく敷目出度く受納仕り候 以上」と結び、日付などを記入して終了です。
まとめ
いただいた結納品は、結婚式が済むまで、和室の床の間やサイドボードなどへ飾っておきます。挙式後、寿留女・昆布・かつお節などの食材は料理に利用してかまいません。
その他の結納品は、記念に保存するか、神社に奉納します。最近は、結納品を羽子板にリメイクし、飾っておく方法も人気です。
結婚式までは毎日あわただしく過ぎますが、正しいマナーで気持ち良く結納をおこないましょう。日程・場所、結納品や様式・服装などを両家で話し合い、専門家のアドバイスを参考に準備すれば、両家の絆が一層深まります。ホテルなどの結納セットを利用すれば、負担も減るのでおすすめです。