和食から料理の基本を学ぶ 日本料理②
和食を学ぶことは、おもてなしの心はもちろん、日々の食卓にも非常に役に立つことばかりです。
古くから”おまじない”のように伝えられてきた調味方法は、実は、調味料の特徴を最大限に生かした、とても合理的なもの。これらの和食のポイントをつかめば、お料理の腕も、グンとアップ!
和食の器と盛りつけ
和食のおもてなしで最も大切なことは、「季節感」をとり入れることです。
器は、料理における着物のようなもの。外出着や普段着、礼服があるように、料理にもふさわしい器があります。
夏は涼感、冬は暖かさを感じられる色や材質を選びたいものです。
盛りつけは、食べる人が斜め前方から料理を見ることを前提に盛りつけます。
皿の周囲を存分に生かした空間美は、おもてなしの心が伝わる「日本料理の美」です。
また、陶磁器を使用する際には、冷たい料理なら水に、温かい料理なら50℃くらいの湯につけてから盛りつけましょう。
魚の切り身などの臭いうつりや、汁気や油分の浸入を防止することができます。
献立を考えるときの工夫としては、大小、風習的なものと珍しいもの、甘辛、熱冷、山海の幸など、変化に富んだ組合せを考えると、味や色彩が際立ちます。さらに、香辛料の力を借りることによって違いを引き立たたせることができます。
和食の調味料
「サ」砂糖または酒
砂糖は、熱を加えてもあまり変化しない調味料なので、少々入れすぎても大丈夫。 酒は、物をやわらかくする効果があります。
「シ」塩
入れすぎて塩辛くなると、いくら砂糖を加えても元には戻らないので、砂糖の次に使うほうが合理的。
「ス」酢
早く入れすぎると、熱とともに酸味が消え、遅すぎると酸味だけが浮き出るので、中ほどに使うのがベター。
「セ」せうゆ(=醤油)
色、味、香りは、火を通す時間によって変化するので、煮物の場合は2~3回に分けて使います。醤油独特の風味を生かすため、仕上げにも加えます。
「ソ」味噌またはグルタミン酸ソーダ(化学調味料)
味噌は、特有の風味を生かすために、入れるのは最後に。
化学調味料は、味見をしてもの足りないときに、最後に控えめに使います。
このように、味つけの種類と順番は、調味料の特性を生かした、実に理にかなったものなのです。
こんなにある! 塩の効果
- だしの味を際立たせる働きがあるので、だしの味見は、塩を加えてから。
- 魚のすり身やうどんをこねるとき、粘りを出すために塩は必須。
- 豆腐をゆでるとき、ひとつまみの塩を加えると、豆腐に”す”が入るのを防ぎます。
- 青菜の色を保ち、美しくゆであげます。
- 魚の身と皮を引き締めて、焼き魚の形を崩さず焼きあげます。
このほかにも、酸化防止や、細菌の繁殖防止などさまざまな効果があります。
酢も重宝する調味料
- うどやレンコンをゆでるときのアク止めに。
- 里芋のヌメリをとるときに。
- 塩でしめた魚を切る際に酢で洗うと、きれいに、滑らかに切ることができます。
- 活き造りにしたあわびを元の殻に盛りつけるとき、酢を一振りすると身がしまり、扱いやすくなります。これは、昔からの秘伝の方法です。
- 昆布や魚の小骨を、柔らかく炊きあげます。
だしのとり方
水1.8Lを火にかけ、25℃(夏の水温)くらいになったら、昆布40gを入れ、70~80℃(煮あがる寸前で、鍋底に小さい湯玉ができる)になったら、昆布をとり出します。
湯が沸騰する直前に、削り節60gを入れて、箸で全体をかき回して沈め、火をとめ、浮いたアクをすくいとり、こします。沸騰させると、だし汁が濁り、渋みが出るので注意(削り節はしぼらないこと!)。
または、昆布をとり出したあと、湯を沸騰させ、火を止めたところへ削り節を入れて、箸で全体をかき回して沈め、アクを手早くすくいとり、すぐにこします。 昆布は、大切りの1枚より、2~3枚に小切りにしたほうが、旨味の抽出がよくなります。
ちょっとしたポイントを知ることで、お料理やおもてなしが楽しくなります。
コーディネートがお好きな方は、お気に入りの器を選んで、料理上手を目指す方は、
「サ」「シ」「ス」「セ」「ソ」から始めて、まずは、日本料理に親しんでみてくださいね。