結婚後のお金の管理方法とは?おふたりに適した方法を選ぶポイントも紹介
結婚することによって、結婚前は自分ひとりで管理していたお金がおふたりのものとなり、お金の流れは大きく変化します。「おふたりのお金=家計」を管理することになりますが、お金についての考え方をすり合わせることはパートナーとのこれからの生活において重要な要素のひとつです。
そこで今回は、結婚後のお金の管理方法について詳しく解説します。あわせてお金の管理でもめないための注意点などについてもご紹介するので、ぜひ参考にしてください。
1.結婚後のお金の管理方法5つ
家計の管理方法はさまざまですが、結婚後のお金の主な管理方法として以下の5つが挙げられます。
- 項目ごとに支払いする人を分けて管理
- 共同口座を作って定額を入金して管理
- 収入をひとつにまとめて小遣い制にして管理
- おふたりの収入を完全に分けて管理
- 担当者を決めて家計をすべて管理
ひとつずつ詳しく見ていきましょう。
1:項目ごとに支払いする人を分けて管理
項目ごとに支払いする人を分けて管理する方法とは、家賃や光熱費、食費、通信費などの項目によって担当を決め、支払う方法を指します。例えばひとりは家賃と通信費を、もうひとりは食費と光熱費をといったように支払いする人を分けて管理します。
支払いが楽なだけでなく、自身の収入を知られたくない際にパートナーにオープンにする必要がない点がメリットとして挙げられます。さらに、それぞれが強みのある項目を担当することができ、お得なプランの情報をキャッチしやすく、節約のアイデアが浮かびやすくなる点もメリットのひとつです。一方で、おふたりの収入総額やそれぞれが貯蓄できているかがわかりにくい点、金額が公平になりにくい点がデメリットになります。
この管理方法は、結婚前と生活が大きく変わらないおふたりに適しています。どちらかが結婚前に住んでいた家にもう一方が引っ越してくる際に取り入れやすい方法です。
2:共同口座を作って定額を入金して管理
おふたりの共同口座を作り、お互いの給料の決まった割合を入金して管理する方法もあります。例えば、「月収の6割を家計に入れる」というルールを決め、その中で生活費をやりくりします。
それぞれの月収に応じて決めることができるため、公平性が高く、シンプルで分かりやすい点がメリットです。生活費の負担がどちらかに偏ることがなく、不満が生じにくい管理方法だといえるでしょう。
しかし、日本の銀行では個人名でしか口座を作ることができません。どちらかの口座で生活費や貯蓄をまとめて管理してしまうと、口座の名義人が亡くなったときに口座が凍結されてしまうリスクがあります。口座凍結の際は手続きを要するため、注意が必要です。
この管理方法は、定額以外は各自でお金を自由に使うことができるため、おふたりが同等の収入を得ている場合に多く採用されている方法です。このとき、○万円という定額ではなく、月収の何割というようなルールにしておくことで、生活に変化が生じて収入が減った際にもすぐに見直しができ、公平性を保つことにつながります。
3:収入をひとつにまとめて小遣い制にして管理
収入をひとつにまとめて小遣い制にして管理する方法とは、おふたりの収入を合算した中からそれぞれの小遣いをとり、残りを生活費や貯蓄に回す方法を指します。実際に運用する際には、おふたりどちらかの口座に全額を入れることになります。
小遣いの上限が定められているため、節約の意識にもつながることがメリットのひとつです。ただし、自由にお金を使っていた独身時代と生活スタイルが大きく異なるため、支出をパートナーに明確に把握されることを負担に感じる方もいらっしゃるでしょう。また、どちらかが小遣いの金額を少ないと感じた場合、不満が生じやすい点もデメリットとして挙げられます。
支出と収入をおふたりで共有していくため、お金をしっかり管理して貯金をしたい方に適した方法です。
4:おふたりの収入を完全に分けて管理
おふたりの収入を完全に分けて管理する方法とは、おふたりの収入を完全に分け、どちらかの収入を生活費、どちらかを貯蓄に回す方法を指します。
一方の収入だけで生活費を担うため、もう一方の収入が減っても生活費が変動しないメリットがあります。例えば妊娠・出産して働き方に変化が生じた場合でも、生活費に大きな影響はありません。
しかし、おふたりの中で情報共有がしっかりできていないと公平性に欠けるリスクがあります。貯蓄担当は、実際に収入のすべてを貯蓄に回していることを伝えないと公平ではありません。情報を開示できることが前提で成り立つ方法です。
また、貯蓄担当の収入が低い場合は必要な割合の貯蓄ができない可能性があるため、おふたりの収入のバランスも重要なポイントになります。
おふたりの収入が同等であったり、情報を定期的に開示できたりする方に適した管理方法です。
5:担当者を決めて家計をすべて管理
担当者を決めて家計をすべて管理する方法とは、おふたりの収入を合算し、お金の管理が得意な方が家計の管理を担い、もう一方は小遣い制にする方法を指します。収入をひとつにまとめて小遣い制にして管理する方法と類似していますが、一方の小遣いは定額、もう一方の小遣いは家計から出るという点に違いがあります。
管理者が明確なため、貯金がしやすいメリットがあります。例えばもう一方がお金にルーズであっても、管理する方がしっかりと手綱を握ることで貯金がしやすくなります。しかしその一方で、管理する側の小遣いは家計の中から出るため、小遣いが不透明になりやすく、公平感を保ちにくいというデメリットがあります。家計管理を担当する側が明確に情報を開示できるか、家計管理を担当しない側が納得できるかどうかが重要なポイントになります。
一方がお金の管理が得意であり、管理する時間に余裕があるおふたりに適した方法です。
2.結婚後のお金管理でもめないための注意点
結婚生活において、お互いの価値観を理解し歩み寄ることは重要なポイントのひとつです。特に、お金に関する価値観は人それぞれで異なるため、結婚後の衝突の原因にもなりやすいものです。ここでは結婚後のお金管理でもめないための注意点について、ご紹介します。
お互いが納得する管理方法にする
前項でご紹介した5つの方法も含め、おふたりごとに適している管理方法は異なります。おふたりの収入やライフスタイル、性格に適した方法をよく話し合って選びましょう。特に、一方が生活費を負担し一方が貯蓄を担当する場合は、一方がお金の面で不公平を感じると信頼関係を築きにくくなってしまうこともあります。それを防ぐためには、双方が納得する方法を選ぶことが大切です。また、ライフステージが変わった場合は、お金の管理の方法を都度見直すようにしましょう。
それぞれの収入を知っておく
おふたりそれぞれの収入をオープンにして、合わせた収入の総額を把握しておきましょう。お互いが収入を把握することで、無理をして貯蓄したり、生活費が足りなくなったり、などといった問題が生じるのを防ぐことができます。収入は昇給で増えたり、産休や育休で減ったりと変動するため、年に一度はおふたりで話し合いをしましょう。話し合いは年末年始のタイミングで、源泉徴収票を持ち寄るとスムーズです。
また、ライフステージを踏まえて、「子どもができたら収入が変わることがある」「定年を迎えるまでに○○円を貯金したい」というようなことを明確にし、適宜お互いの収入を確認して考えると良いでしょう。
お金の使い道について決めておく
「何にお金をかけたいか」ということは、人生において大切にしていることの価値観にもつながります。家計管理の前に、お互いの価値観について深く理解しておくことが大切です。
「普段は節約してイベントで豪華に使う」「お互いの趣味に関して月〇円までなら使っても良い」などのように、普段の生活の中でお金をどのように使うか、使っていきたいかをすり合わせましょう。買いたいものややりたいことを明確にし、優先順位を含めて話し合うことが大切です。
将来のためにお金をどうするか決めておく
将来おふたりが子どもを持つことを考えているのであれば、子どもの養育費や進学にかかるお金が必要になります。また、家を建てたい場合も、頭金やローンの返済が必要になります。「住宅資金(住宅購入資金)」「教育資金」「老後資金」は人生の三大資金とも呼ばれ、計画的な準備が必要です。将来のために必要な貯蓄額の目標をおふたりで決めましょう。その他にも、趣味に使いたい、老後のために貯蓄したいなど、それぞれの希望や考えを明確にし、お互いが把握し納得しておくことが大切です。
3.結婚したらどうやってお金を管理すれば良い?
結婚後の主なお金の管理方法として前述の5つの方法が挙げられますが、具体的にどのように管理していくのが良いのでしょうか。お金を管理していくうえでのポイントとして、以下の3点が挙げられます。
- 家計管理に必要な項目を知っておく
- スマホアプリを使う
- 家計簿をつける
それぞれのポイントについて、詳しくご紹介します。
家計管理に必要な項目を知っておく
まず、家計管理に必要な項目を把握しておきましょう。例えば、1ヶ月の収入や支出、ローンの返済、お祝いなどでいただいたお金やそのお返しの支出などが挙げられます。簡単にいえば、お金が出入りするものはすべて家計管理に必要な項目といえます。毎月の収入と支出を可視化し、おふたりがいつでも確認できるようにしておきましょう。
スマホアプリを使う
家計を管理するうえでは、収入と支出を可視化することが大切です。可視化することによって、お金のトラブルを回避するだけでなく、無駄が発見しやすくなるため、節約につながり貯蓄が進みます。
近年は家計管理アプリが普及しており、銀行口座やクレジットカードと連動できる機能もあるため、お金の流れを可視化したいおふたりにとって便利でおすすめのツールです。
スマホは普段持ち歩いているアイテムのため、利便性の向上も期待できます。例えば、レシートを撮影するだけで仕分けをする機能や入金・出金対応がスムーズになるなどのメリットがあります。スマホアプリもさまざまな種類があるため、おふたりに適したアプリを選びましょう。
家計簿をつける
家計簿をつける方法は、ノートに手書きしたりExcelなどを使ったりして管理します。毎日・毎週などの期間を決めて収入や支出を記載するため、お金に対して向き合う時間が持てるだけでなく、人によってはメモや日記替わりになり、振り返りがしやすくなる点もメリットとして挙げられます。
スマホアプリと比べるとやや手間がかかることがありますが、画面が大きいため見やすかったり、ご自身が見やすいようにカスタマイズできたりするため、おふたりに適した方を選ぶと良いでしょう。
4.投資やお金の備えは?
家計の管理において、貯蓄も重要な要素のひとつです。おふたりの将来のために効率的に貯蓄するには、以下の3点のポイントに注意しましょう。
- 投資をする場合は収支に気を配る
- ライフステージの変化を考えておく
- 急な出費の備えをしておく
ひとつずつ見ていきましょう。
投資をする場合は収支に気を配る
投資をする場合は、収支に気を配ることが大切です。主な投資の方法として、以下の6つが挙げられます。
- 株式投資
- 投資信託
- 新NISA
- iDeCo
- FX(外国為替証拠金取引)
- 不動産投資
一言で投資といっても、上記のように新NISAやFX、不動産投資などさまざまな運用方法や制度があり、リスク・リターンや投資方法が異なります。投資をする際には、リスクとリターンをよく理解することが大切です。収益の目標額を決めておくのも良いでしょう。
また、おふたりが納得したうえで投資を行わないとトラブルになる可能性もあるため、注意が必要です。
ライフステージの変化を考えておく
これから先の人生を歩んでいくうえで、ライフステージの変化を考えておくことも重要なポイントです。おふたりが結婚してからのライフステージの一例は以下のとおりです。
- 結婚
- 出産
- 住宅購入
- 転職・退職
- 親御様の介護
- 定年
上記のようにライフステージの変化が起こる際に、収入はどうなるのか、ローンや育児費用の支出はいくらくらいになるのかをおふたりで把握しておき、貯蓄が不足しないように備えておきましょう。
急な出費の備えをしておく
教育費や住宅購入費などの目的のある貯蓄とは別に、急な出費に備えて生活予備費を貯めておきましょう。冠婚葬祭や家電の買い替えはもちろん、あまり考えたくはありませんがケガや病気はおふたりだけでなくご家族などにも降りかかる可能性があります。そのような事態に陥ったときに、貯蓄があると適切な治療を受けることができ、心の余裕も生まれます。
目安となる金額は、生活費の3~6ヶ月分、自営業や個人事業主であれば6ヶ月~1年分を備えておくと安心です。月に1万円程度の少額からで良いので、目的のある貯蓄とは別に準備しておくのがおすすめです。
結婚してからの家計管理を適切に行うことは、おふたりが末永く幸せに暮らしていくためにも大切なことです。一方に負担がかかると公平性に欠け、信頼関係が築きにくくなることもあります。お互いが納得する方法で進めるようにしましょう。また、ライフステージの変化に合わせて都度見直しを行い、定期的に話し合いの場を設けると良いでしょう。
これから結婚式を挙げる検討している方は、希望する結婚式のスタイルにかかる費用感を掴んだり、金額感をお互いに相談したりすることで、結婚後の家計イメージを掴むことにつながります。
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