仏前式の結婚式の特徴を解説
結婚式には、教会式や人前式などさまざまありますが、最近は和装結婚式の人気が高まっています。
和装結婚式には「神前式」と「仏前式」がありますが、違いをご存じない方も多いのではないでしょうか?特に、仏前式をする方はあまり多くないようですが、実は日本で古くから行われている挙式のスタイルです。同じ和装結婚式でも神前式と仏前式ではやり方やかかる費用などに違いがあります。そこで今回は、神前式と仏前式の特徴や意味、かかる費用の違いなどをご紹介します。
目次
- 1.仏前式ならではの特徴
- 2.仏前式と神前式の違い
- 3.仏前式の流れ
- 4.仏前式で結婚式を挙げるときのポイント
- 5.宗教ごとの仏前式結婚式の違い
- 6.仏前式の式場選び
- 7.仏前式の挙式のメリット
- 8.参列者の結婚式マナー
- 9.新郎新婦の服装
1.仏前式ならではの特徴
仏前式の特徴は、仏様の前で誓いを立てるということです。仏様やご先祖様に結婚の報告をして、巡り合えたことに感謝します。
仏教には「因縁」という教えがあります。結婚式は、前世からの因縁でありご先祖様の慈悲によるものであるという仏教の教えにもとづいて行われ、来世までの結びつきを誓います。来世までの結びつきを誓うことは、仏前式の特徴の1つです。仏前式では僧侶から新郎新婦へ数珠が授けられる「念珠授与」が行われます。この念珠授与も他の結婚式のスタイルにはない、仏前式ならではの特徴です。
仏前式を行うことで、ご先祖様を大切にする気持ちが芽生えるカップルが多くいます。教会式とは特徴が異なるため、参列者の印象に残りやすいでしょう。仏前式の特徴として、比較的費用がお手頃という点も挙げられます。
2.仏前式と神前式の違い
日本の伝統的な挙式のスタイル「仏前式」と、「神前式」の違いをご紹介します。
意味の違い
仏前式
出会いのきっかけである「因」と、二人が結ばれた「縁」を仏様やご先祖に結婚の報告し、巡り合えたことを感謝するという意味があります。仏式では、一度結婚すると来世まで連れ添うという仏教の教えにもとづいて、来世までの結びつきを仏様の前で誓います。
神前式
神様に二人が結ばれたことを報告・感謝するものです。室町時代から続く伝統的な様式ですが、今のような形になったのは、明治33年に大正天皇が挙げた結婚の儀式が起源となっています。神前式では、今後のご加護を願うという大きな意味合いがこめられています。親族や仲人、参列者は玉串を神前に捧げる儀式を行います。
式の内容の違い
仏前式
仏前式では「念珠授与」という儀式が行われます。白房の数珠を新郎、赤房の数珠を新婦へ、僧侶が授けるというものです。そのあと、三三九度の杯を交わすという流れになっています。僧侶、新郎新婦、参列者は焼香し合掌することも仏前式の特徴です。
神前式
新郎新婦は雅楽の音色が響く中、神社に奉仕する神職と巫女に導かれて、本殿へ向かいます。「新郎新婦が結婚することを報告する」という祝詞(のりと)が読まれ、三三九度を交わします。「指輪交換の儀」として、指輪の交換が取り入れられています。
結婚式の費用の違い
仏前式
十数万から二十数万円くらいです。寺院、もしくは仏前式と披露宴、パーティーが叶うホテルがおすすめです。披露宴を行う場合には会場を手配する必要があり、別途費用がかかります。
神前式
神社での儀式だけなら十数万円くらいです。ホテルや結婚式場で神前式を行う場合には、貸衣装や披露宴などがセットになっていることがあります。その場合の相場は、百五十万円~二百五十万円程度です。
教会式の結婚式の費用は、首都圏では平均四十数万円くらいかかります。さらに披露宴込みで行うと、百十数万円から数百万円くらいかかります。教会式と比較すると、仏前式と神前式は費用を抑えやすいでしょう。
3.仏前式の流れ
仏前式の流れは、次のとおりです。
- 1.入堂
- 2.敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
- 3.念珠授与(ねんじゅじゅよ)
- 4.指輪の交換
- 5.司婚の儀(しこんのぎ)
- 6.焼香
- 7.誓杯(せいはい)または式杯(しきはい)
- 8.親族固めの杯
- 9.法話
- 10.退堂
1.入堂
先に両親と親族が挙式するお寺の堂内に入り、着席します。次に新郎新婦のお世話をしてくれる媒酌人に導かれて新郎新婦が入堂し、最後に式を執り行う僧侶が入堂し焼香します。
2.敬白文朗読(けいびゃくもんろうどく)
僧侶が焼香をします。続いて、僧侶が仏と先祖に二人の結婚を報告するための言葉である「敬白文」を読み上げます。
3.念珠授与(ねんじゅじゅよ)
念珠とは、数珠のことです。僧侶から白い房の念珠を新郎が授かり、赤い房の念珠を新婦が授かります。新郎・新婦ともに、念珠を両手で受け取り、左手の親指以外の四指にかけて合掌します。念珠は、結婚式が終わるまで持ちます。念珠授与式は、仏前式でもっとも大切な儀式です。
4.指輪の交換
僧侶から指輪を受け取り、お互いの薬指にはめます。
5.司婚の儀(しこんのぎ)
僧侶が二人に結の誓いを求めます。新郎新婦はそれぞれ「誓います」と答えましょう。さらにご本尊に向かって誓の言葉である誓詞(せいし)を読み上げます。これを受けて、「結婚の成立」です。
6.焼香
新郎→新婦の順番で1回ずつ焼香し、合掌します。続いて、参列者も焼香し合掌します。
7.誓杯(せいはい)または式杯(しきはい)
誓杯または式杯は、神前式の三三九度にあたるものです。神前式とは順番が逆になりますが、新婦→新郎→新婦の順番でお神酒を酌み交わし、夫婦の契りを結びます。
8.親族固めの杯
参列者一同で、祝杯をあげるというものです。参列者全員が起立します。配られた杯を3回に分けて飲み干し、合掌しましょう。
9.法話
結婚を祝して、僧侶がお祝いの言葉と仏教の教えを伝える法話を述べてくれます。
10.退堂
最後に、一同が起立して合掌・礼拝をします。退堂は、僧侶→新郎→新婦→媒酌人→両親→親族の順番です。宗教や宗派によって異なるので、確認しておきましょう。
ここまで仏前式の流れを解説しましたが、仏前式をスムーズに行うのは難しいでしょう。ブライダル業界関係者の方であれば話は別ですが、はじめてだと準備や進行に迷ってしまうのも無理はありません。そのため、仏前式の挙式を行うときは、専門家に相談した上で準備を行うのをおすすめします。予算や参加人数などに応じて仏前式に最適な会場を選んでくれる他、準備や進行のサポートをしてくれますよ。
仏前式の結婚式に関するご相談は、「ホテル椿山荘東京」のウエディングプランナーにご相談ください。式場の準備から進行のサポートに至るまで、最高のサポートをご提供。仏前式をはじめ、多彩なウエディングスタイルをご提案いたします。
4.仏前式で結婚式を挙げるときのポイント
仏前の結婚式は、教会式と異なる点が多いので注意が必要です。ここでは、仏前式で挙式するときのポイントをご紹介します。
参列者について
仏前式の参列者は、基本的に家族と親族のみで執り行われます。しかし、会場によっては友人などの参列者を許可してくれるところもあるので、確認すると良いでしょう。
参列者は数珠の持参が必須
仏前式の結婚式の参列者は、必ず数珠を持参する必要があります。結婚式の招待状には、必ず「当日数珠の持参をお願いします」と明記することを忘れないようにしましょう。
両家の宗派を確認する
仏前式を考えているカップルは、両家の宗派を確認しましょう。もし、二人の宗派が異なる場合には、どちらかの宗派に合わせれば問題ありません。一般的には新郎の宗派に合わせることが多いのですが、決まりではないので両家で話し合って決めると良いでしょう。
仏教以外の宗教を信仰している場合には、仏前式での挙式の検討もしなければなりません。最初にきちんと話し合いをすることが大切です。
仏前式の結婚式ができるお寺か事前に確認する
すべてのお寺で仏前式の挙式ができるわけではありません。仏前式は他の挙式スタイルと比較すると、できる会場が限られています。事前に確認をしましょう。また、お寺では披露宴ができません。披露宴を行う場合には、別会場を手配する必要がありますのでご注意ください。
香水はつけない
仏前式ではお香を焚いているので、香水やコロンをつけていると香りが混ざってしまいます。香りが混ざって不快な臭いになる可能性があるので、仏前式に参列する際は香水などの香りが強いものは避けましょう。
5.宗教ごとの仏前式結婚式の違い
仏前式の結婚式でも、宗教によって違いがあります。浄土宗・浄土真宗・日蓮正宗の結婚式の違いを紹介します。
浄土宗
日課勧奨(かんしょう)と行華(あんげ)を行います。勧奨とは、念仏を唱えることを勧める簡略的な作法です。お釈迦さまの前世の物語にあやかり、新郎は5本、新婦は2本の花を仏様に捧げて結婚の証とすることを「行華」といいます。
浄土真宗
浄土真宗では、阿弥陀如来の前で儀式を行うという特徴があります。新郎、新婦はともに阿弥陀如来のお慈悲の中にあることを感謝しながら、お互いに助け合いながら生きていくという決意を新たにします。
日蓮正宗
寺院御宝前の前で儀式を行い、夫婦が末長く契りを結ぶことを誓います。日蓮正宗の信徒は、神社やキリスト教会での婚儀を行うことは慎むべきとされています。
6.仏前式の式場選び
基本的に、仏前式での結婚式が挙げられるお寺を探しましょう。
お寺にこだわらないという方は、キリスト式・人前式だけでなく仏前式も挙げられる結婚式場もおすすめです。ホテル椿山荘東京では、仏前式・神前式・キリスト式すべてに対応可能です。仏前式の結婚式は通常、親族しか参列できませんが、ホテル椿山荘東京なら親族だけでなくお呼びしたいゲストもご参加できます。詳しくは、こちらをご覧ください。
7.仏前式の挙式のメリット
以下では、仏前式の挙式ならではのメリットをご紹介します。
結びつきを感じることができる
仏前式の結婚式は、巡り合えたことを感謝して来世までの結びつきを誓うロマンチックな挙式のスタイルです。ご先祖様を大切に思い感謝して、パートナーとの結びつきを感じることができます。
印象に残りやすい
教会式の結婚式が多く、仏前式に参列したことがあるゲストは少ないでしょう。そのため、ゲストの印象に残りやすいというメリットがあります。
両親はもちろん参列してくれた親戚の記憶にも残るような素敵な結婚式にしましょう。
8.参列者の結婚式マナー
仏前式の結婚式に参列する機会が少ないため、マナーについてご存じないという方も多いのではないでしょうか?次に、仏前式の結婚式でのマナーについてご紹介します。
服装マナー
参列する際の服装は、教会式や神式の結婚式と変わりありません。新郎新婦が和装であっても、参列者は和装でも洋装でもどちらでも構いません。仏前式特有の服装マナーはありませんが、寺院で行うため、正座をしなければならない可能性が高くなりますので、短いスカートは避けたほうが無難です。
持ち物について
仏前式では、数珠が必須です。招待状に明記されていると思いますが、仏前式の結婚式に参列する場合には、数珠は忘れずに持参してください。
9.新郎新婦の服装
和装結婚式のイメージが強いかもしれませんが、仏前式の結婚式での新郎新婦の服装には特に決まりはありません。新婦の服装は、和装の白無垢が一般的です。外側にかける「打掛」と打掛の内側に着る振袖である「掛下」、花嫁が身につける小物はすべて白で統一します。
髪形は、文金高島田で白無垢の場合は「綿帽子」それ以外の場合には「角隠し」をつけます。新郎の服装は、新婦に合わせて羽織袴にすることが一般的です。正装の黒5つ紋付き羽織袴を選びましょう。新郎新婦ともに、ウエディングドレスにタキシードを着ることも可能です。寺院という場所に合わせて、和装をするカップルが多くなっていますが二人で相談して決めましょう。
仏前式の結婚式はあまり知られていませんが、和装結婚式の人気が高まっていることから、注目されています。参列したことがないというゲストも多いため、印象に残りやすいというメリットがあります。仏前式の結婚式は、ご先祖様への感謝の気持ちを持つことができ、来世での結びつきまで誓い合うという特徴があります。
結婚式はどこのお寺でも挙げることができるというわけではないので、事前にきちんと確認しましょう。新郎新婦の宗派が異なる場合には、どちらかの宗派に合わせる必要があるため、きちんと話し合いをすることが大切です。新郎新婦はもちろん、ゲストの想い出にも残る素敵な結婚式にしましょう。